考え事をしながら歩くと危ない

通信販売は終了しましたー
たくさんのご利用ありがとうございました！

次の再開はインテ後を予定しています。
あと１２月１４日の世界会議で「ハプス夫妻の～」を委託させて
いただくことになりました。
いつもありがとう！！
ということで委託先は「BG.」さま。スペースは…どこだっけ。あとで調べよう。


続きはなんとなく書いてみたパラレル西墺。

「踊らないのですか」

と青年は聞いた。オーケストラが奏でる軽やかな音楽が満ちるその会場で、
男は居心地が悪そうに壁の花となっていた。

「えぇねん、踊り、苦手やし」

人懐っこい笑顔で青年は返した。それに、音楽は聴いている方がえぇんや。
さっきのピアノの曲、あれ、よかったわぁ。

身なりは悪くない。それなりに上等なものを着ているのだろう。
長すぎる手足をもてあまし気味にカウチに腰掛けているが、この場に
慣れているという風ではない。顔だってそこらへんの真っ白な顔をした
貴族連中とは違って彫が深く、緑色の瞳の奥はきらきらと輝いている。
それなのに男はどうしてかこの場にひどく不釣合いなのだ。

「お兄さんこそ、踊らへんの？」
ほら、あっちこっちで女の子がそわそわしてるで。

「私はいいんです」

重力で少し下がった眼鏡を中指で持ち上げた。

「私の指定席は、あちらなので」

そう言って青年は、広間の一方を指差した。
黒々と輝くグランドピアノが、静かに次の出番を待っていた。


それが私たちの出逢いだった。



…続くかどうかもわからない西墺パラレル。
親分がトマト農場（大地主）の跡取りで貴族様が駆け出しの音楽家、なーんて。